ライトノベル 眠り姫 レビュー

タイトル 眠り姫
著者 貴子潤一郎
イラスト ともぞ
出版 富士見ファンタジア
発売日 2004年10月


執筆者:jade 評価:
第14回ファンタジア長編小説大賞受賞者の初の短編集で表題の眠り姫をはじめ7つの短編が収録されています。

「眠り姫」に期待して購入したのですが30ページ弱とボリュームが一番少なく、正直期待外れでした。バセドー病という奇病に侵され眠り続ける少女とその眠りが覚めるのをひたすら待ち続ける主人公という設定通り、話自体は良く出来た美談に仕上がっているのですがその分意外性に欠け、ページ数を考えればこういう展開になるのはほぼ予想がつきました。そのうえオチも弱かったですしね。小説というよりは単なる美談といった印象を受けました。

「汝、信心深き者なれば」、「さよなら、アーカイブ」、「水たちがあばれる」でも文章力・構成力・発想力ともに標準以上の力を垣間見せてはいるのですがそこまで印象に残る物語とは言えないですね。
その中にあって唯一楽しめたのは3篇収録されている探偵真木シリーズ
洋楽好きの探偵と映画好きのヤクザのコンビという異例のコンビが不毛な掛け合いをしながら地味な事件を解決していく姿は哀愁を感じさせてくれてなかなか楽しめました。

どの作品もファンタジーというよりもミステリーの要素が強く、ファンタジア文庫ではなくミステリー文庫で出版すべき作品だったのではないかと思います。それを裏付けるように一番面白いと感じられたのがミステリー小説の王道の探偵小説ですからね。この作者はミステリー向きとみて間違いないでしょう。
全体的に大人の雰囲気が漂う物語ばかりでライトノベル作家としてはなかなかの力を持った作家だとは思いますが、もっと広い枠組み(ミステリー界全体)で見ればこの程度のミステリーを書く人はゴロゴロ存在します。
そのため、この作品からは一般小説では通じないがライトノベルになら通じるという中途半端な作品という印象しか受けませんでした。一般小説では出来ないような題材を描いてこそライトノベルの意義があると思うんですけどねぇ。
それでも悪くもなく良くもない程度の作品には仕上がっているので手軽に美談を楽しみたいという人なら購入しても損はしないかもしれません。




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